脳の元気を作り出す〜会話編
最近ひとの名前が出てこない・・・、昨日の晩に何を食べたか思い出せない・・・、そんなことを感じている方はいませんか? 人間は40歳前後から「物忘れ」がひどくなると言われています。「物忘れ」くらいであれば笑い話にできますが、「脳の中身」がどうなっているのかまでは自分ではわからないので、ちょっと怖いですよね。
日本の試算では、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になるといわれています。「物忘れ」くらいは問題ではありませんが、私たちは自分が「使いやすい」ように脳を使う傾向があり、それは筋肉と同じで「偏って使う = 使わない部分がある → その結果脳が衰える」ということにつながります。また脳機能が衰えていくことで、結果的に認知症やその他の疾患につながることがわかってきています。
このコラムでは、日常的に行っていることを「ちょっと意識するだけで脳トレになるコツ」をお伝えしていきます。
実際にやってみよう!
皆様は下記にあてはまるものはありますか?
- 家にいることが多い
- スマホやパソコンなどの画面を見ていることが多い
- 友人が少ない
- 家族と盛り上がって話すことは少ない(必要最低限の話しかしない)
この質問に1つでも「YES」がある方は是非、今回のコラムを読んで実践してみてください。
会話をすることで、脳内では何が起こっているのか
2018年のアルツハイマー国際会議では、アルツハイマー型認知症の要因の一つに「社会的孤立」があげられました。
つまり、人と接しない、孤立するという環境は、脳への刺激が減り、脳を衰えさせるというのです。脳の機能が衰えることで、気分がイライラしたり、うつ症状が出てしまったりもします。
「会話をする」ということは、様々な脳機能が働きます。順番に辿っていくと、
- 1:相手の話を聞く
- ⇒ 耳を働かせ「聴覚」が刺激されます
- 2:内容を理解する
- ⇒ 相手の「言葉」に対して「理解」する脳の場所が刺激されます
- 3:自分の言葉で相手に伝える
- ⇒ 伝達するために言葉を紡ぐ脳と、実際に口を動かす運動系の脳が動きます
簡単にまとめると
- 聴覚系
- 理解系
- 伝達系
- 運動系
これら大きく4つの脳の部分が動きます。またその時の話が面白かったり悲しかったりなど、自分の感情が動くことで「感情系」の刺激も入ります。
このように、単なる会話でも脳内ではダイナミックな変化が起こっているのです。
効果的な会話術は「質問をする」こと
この会話を脳の健康に役立たせるには「質問をする」ことが有効です。
日本人は「質問が下手な民族」と言われており、企業研修などでも質問があまり出ないそうです。普段の会話も「聞いて終わり」になっていませんか?
普段の会話から「自分から質問する」ことを意識するだけでも、かなり脳は動きます。例えば、いつも話している家族にはこんな質問はどうでしょう?
最近楽しかったことは何?
いつも一緒にいると「楽しいこと」をわざわざ聞かなかったりします。改めて聞いてみると、意外な発見があるかもしれません。相手が話してくれたら、自分の「最近楽しかったこと」を話すとさらによいですね。
若い時に行った○○への旅行、一番楽しかったことを覚えてる?
お互い「共通の出来事」について聞いてみるのもよいでしょう。同じ出来事でも、同じことを覚えているとは限りません。また過去のことを想起することも脳には良い刺激になります。
最近、顔色いいね! 何かしているの?
特に女性に対して「褒める」ことは有効なコミュニケーションになります。日本人男性は褒めることに抵抗があるようですが、実は「言葉」には相手に言いながら「自分の脳」も聞いています。ですから、自分自身が発する言葉は自分自身が受け取るものにもなるわけなので、自分にも相手にも良い刺激にしかなりません。
「褒める」ことをしないと損なくらいの気持ちでぜひやってみましょう。また褒めるだけでなく、質問を加えることで相手への思いやりも伝わり、会話も長く続きます。
ぜひ「毎日1つは質問をする」
を習慣にしてみてください。ポイントは、「前向きな質問」にすることだけです。
次回は「脳を元気にする簡単な運動」がテーマです。では健康な毎日をお過ごしください。