センペンバンカで選んだ絵画を印刷・額装してみよう
以前に公開したコラム「無料でダウンロードできて商用利用可能なパブリックドメインの絵画をデザイン素材に使ってみよう」では、パブリックドメインについての基礎知識や、パブリックドメインの絵画を入手する方法を紹介しました。
今回は、より実用的な使い方の例として、商用利用可能なパブリックドメインの名画を収録したソフト「センペンバンカ」から選んだ絵画を大きなサイズでプリントアウトし、額縁に入れて飾るまでの流れを紹介します。
実物の絵画を飾るとなると、何万円もの費用がかかりますが、この方法なら少しの手間と費用で気軽にお部屋の雰囲気を変えられます。ぜひ参考にしてみてください。
※パブリックドメイン(public domain)とは、著作物や発明・デザインなどの知的創作物について、知的財産権が発生していない、または消滅した状態を指し、パブリックドメインの知的創作物は著作者の許可を得ることなく、誰でも自由に利用・修正・再頒布できます。
センペンバンカとは
今回使用する「センペンバンカ」は、ゴッホの「ひまわり」やムンクの「さけび」など、誰もが知っている名画を数百点収録したデザイン素材ソフトです。収録されている絵画の画像データはすべて商用利用可能なパブリックドメインのデジタルデータであり、オリジナルサイズのまま利用できることはもちろん、名刺やはがきなどの定型サイズ、スマートフォンの待受画像サイズなど、自由な大きさにワンクリックでリサイズできます。
また、画家のプロフィールや正式名、生没年、いつの時代にどのような活躍をしたかなど、作品の関連情報がひと目でわかるようになっているため、デザイン素材集としてだけでなく、美術や絵画を気軽に楽しめる教養・学習ソフトとしても利用できます。
タイトルと収録画家一覧
現在、当サイトで取り扱っているセンペンバンカシリーズは以下の4タイトルです。
- 世界の名画606
- フェルメール、モネ、ゴッホ、ミュシャ、レンブラント、スーラ、ロートレック、ターナー、ミレイ、ミレー、セザンヌ、ルノワール、ゴーギャン、クリムト、シーレ、ムンク、ブリューゲル、グレコ、ドガ、マネ、ダ・ヴィンチ、ボッティチェッリ、ラファエロ、ベラスケス、ルーベンス、ゴヤ、ルソー、フラゴナール、ダヴィッド、ドラクロワ、ブーシェ、シャルダン、シニャック、アルチンボルド、クルーベ、モロー、フリードリヒ、シスレー、ピサロ、カラヴァッジオ、ベックリン、ファン・エイク、コンスタブル、カバネル、ホーマー、ホイッスラー、ドニ、サージェント、モンドリアン、モディリアーニ
- センペンバンカ世界の名画606 商品ページへ
- 日本の名画808
- 青木繁、池大雅、伊藤若冲、今村紫紅、上村松園、歌川国芳、歌川広重、尾形光琳、小原古邨、葛飾北斎、狩野永徳、狩野内膳、狩野芳崖、狩野元信、川瀬巴水、岸田劉生、喜多川歌麿、黒田清輝、渓斎英泉、幸野楳嶺、児島虎次郎、小村雪岱、佐伯祐三、下村観山、雪舟、曾我蕭白、高橋松亭、高橋由一、高畠華宵、竹内栖鳳、竹久夢二、月岡芳年、土田麦僊、東洲斎写楽、二代目 長谷川貞信、橋口五葉、長谷川等伯、速水御舟、菱田春草、松岡映丘、円山応挙、村上華岳、安井曾太郎、横山大観、吉田博、萬鉄五郎
- センペンバンカ日本の名画808 商品ページへ
- 隠れた世界の名画625
- アーサー・ダヴ、アブラハム・ミグノン、アボット・ハンダーソン・セイヤー、アンリ・ソム、アンリ=エドモン・クロス、ウィリアム・ブレイク、エセル・リード、エドワード・バーン=ジョーンズ、エドワード・ペンフィールド、エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー、オットー・レンデッケ、オディロン・ルドン、グラント・ウッド、サミュエル・コールマン、ジャック=ローラン・アガセ、ジュリー・ド・グラーグ、ジョージ・ベローズ、ジョセフス・アウグストゥス・クニップ、ジョルジュ・バルビエ、ジョルジョーネ、ジョン・ジェームズ・オーデュボン、ジョン・フレデリック・ヘリングシニア、チャールズ・デムス、テオ・ファン・ホイテマ、ドミニク・アングル、パウル・クレー、ピエール・ボナール、フランツ・マルク、フレデリック・チャイルド・ハッサム、フレデリック・レミントン、ポール・ナッシュ、メアリー・カサット、ヤン・トーロップ、ヨハン・ヘオルフ・ファン・カスペル、ライジェー・ストーク、リュック=オリヴィエ・メルソン、ルイ・アベル=トリュシェ、レオネット・カッピエロ、ロバート・ジェイコブ・ゴードン
- センペンバンカ隠れた世界の名画625 商品ページへ
- 隠れた日本の名画655
- 浅井忠、池田輝方、井上安治、太田聴雨、岡田三郎助、神坂雪佳、川合玉堂、河鍋暁斎、川西英、川端龍子、川原慶賀、北野恒富、北脇昇、小泉癸巳男、小早川清、小林清親、小林古径、杉浦非水、鈴木春信、須藤しげる、武内桂舟、田中保、土屋光逸、鳥居清長、中沢弘光、菱川師宣、藤島武二、三木翠山、水野年方、山川秀峰、山本昇雲、山本芳翠、湯浅一郎、楊洲周延、ラグーザ玉、和田英作
- センペンバンカ隠れた日本の名画655 商品ページへ
「世界の名画606」と「日本の名画808」は、誰でも一度は聞いたことのある有名な画家の作品が多数収録されています。一方、「隠れた世界の名画625」と「隠れた日本の名画655」は、美術に関心のない方にはあまり聞きなれない、ややマニアックな画家が多い印象でした。今回は「世界の名画606」の中から選びます。
絵画を選ぶ
センペンバンカの画面は、画家一覧、絵画一覧、画家年代順の3つのメニューから目的の絵画を探せるようになっています。目的の画家が決まっているなら「画家一覧」から、収録作品全体から選びたいときは「絵画一覧」から探すとよいでしょう。
個人的にはドイツのフリードリヒやイギリスのターナー、フランスのミレーなどが好みなのですが、いずれも部屋に飾るにはやや暗い気がしたので、あれこれ悩んだ結果、ゴッホの代表作のひとつである「星月夜」を選びました。絵画を選択して「オリジナル画像」をクリックすればパソコンにJPGデータとして保存できます。
額縁と印刷サイズを決める
絵画をプリントアウトして飾るときに気をつけなければならないのは、印刷用紙と額縁のサイズ選びです。
多くの絵画は作品ごとにサイズも縦横比もバラバラなので、一般的な定形用紙サイズ(A1やB2など)や、それらに合わせて作られている額縁にぴったりフィットしません。例えば、「星月夜」の実寸は横921×縦737mmですが、一番近い大きさのB1用紙(横1030×縦728mm)に印刷する場合、用紙の横方向に合わせて絵を拡大したときは、絵の縦方向が一部切り取られ、用紙の縦方向に合わせて絵を縮小したときは、絵の横方向に余白ができてしまいます。
作品の一部が切り取られたり余白ができるのは避けたかったので、ちょうどよいサイズの額縁がないか探したところ、IKEAの木製フレーム「HOVSTA ホーヴスタ」に付属台紙(額装マット)を入れたときのサイズが500×400mmで、「星月夜」の縦横比の5:4とちょうど同じでした。安価ですがフレームは木製で見た目も悪くないため、こちらをIKEAのオンラインストアで購入しました。
- HOVSTA ホーヴスタ
- フレームサイズ:72×52 cm
- 台紙なしアートサイズ:70×50 cm
- 台紙付きアートサイズ:50×40 cm
なお、絵画のサイズはウィキペディアやGoogle Arts & Cultureなどで調べられます。
参照:The Starry Night – Vincent van Gogh — Google Arts & Culture。
ネットプリントサービスで印刷する
ポスターなどの大きな用紙サイズの印刷に対応したネットプリントサービスは、グラフィック、ラクスル、カメラのキタムラなどがあります。今回は一番リーズナブルなグラフィックのプリントサービスを利用しました。
グラフィックはスマプリデザイン(旧名称:Webデザインツール)を使って、ブラウザ上から印刷データの入稿ができるうえ、印刷位置をミリ単位で変更できるので、額縁サイズにあわせてサイズを変えたいときにも簡単に調節できます。ポスター印刷の料金は以下のとおりです(2022/12/09時点)。
オンデマンド印刷 / 片面カラー / 厚手マット紙
B1(1030×728mm):3,270円
A1(841×594mm):2,680円
B2(728×515mm):2,160円
A2(594×420mm):1,710円
グラフィックの会員登録をすませせたうえで、上記のスマプリデザインの画面から、「ポスター」、「A2サイズ」、「白紙から作成する」の順に選ぶとデザインツールが起動します。センペンバンカからダウンロードした絵画のデータを中央に配置し、額縁のサイズである500×400mmに合わせます。
レイアウトが完成したら印刷イメージを確認できます。ツールの詳しい使い方や注文方法についてはグラフィックのヘルプページを参照してください。
用紙は光沢のないマット紙がおすすめ
せっかく印刷会社に注文するなら、できるだけ実際の絵画の質感に近い用紙を選びたいところです。一般的に写真やポスターを印刷するときには光沢紙が選ばれることが多いですが、絵画を印刷する場合は光沢のないマット紙を選ぶほうがよいでしょう。額縁に入れて飾ったときに、より実物に近い雰囲気に仕上がります。
また、印刷会社によっては絵画印刷専用のアート紙、和紙、キャンバスなどを取り扱っているところもあります。いずれも一般的な印刷紙とは違った、独特の質感を楽しめます。
絵画を額縁に入れて完成
グラフィックで注文したA2ポスターは5日、IKEAに注文した額縁は6日で届いたので、さっそく開封して額縁に入れ、自宅の廊下に飾ってみました。いつもと同じ廊下が心なしか静謐な空間になったような気がします。
まとめ
自宅に絵画を飾るとなると、なんとなく敷居が高いことのように感じるかもしれませんが、今回紹介したように、センペンバンカの絵画の中から気に入ったものを選んで印刷・額装するだけなら、少しの費用で気軽に絵画のある生活が楽しめるようになります。
今回はポスターサイズで印刷したかったのでネットプリントサービスを利用しましたが、A4もしくはA3サイズなら一般的な家庭用プリンターでも印刷できるので、自宅でプリントアウトすればさらに低コストで実践できるでしょう。
絵画のある生活を手軽に楽しみたい方はぜひチャレンジしてみてください。